ぼくがFIREした理由

FIRE

こんにちは。FIREしたゲイです。

今日は、「ぼくがFIREした理由」について話したいと思います。

ぼくの価値観

ぼくは元々、情報科学の修士号を持つ理系のゲイ男性で、論理的で合理的な考え方をする人間です。

また、それと同時に「少なければ少ないほど良い」という原則を信奉する、オッカムの剃刀信者のミニマリスト、という特性もあります。

そして、物質的な豊かさよりも内面の豊かさ(知識だったり、自分の感情だったり)を重視する内向性の強い性格で、ストア哲学とか宗教的な教えとかに興味があります。

こういう性質なので、贅沢なものには興味がなく、シンプルで最小のものだけに囲まれて生活していたいし、好きな言葉はワンツールマルチユースです。

大きくて立派な家に住んで高級な洋服を着たいわけじゃなく、一人で生活するのに十分な広さの1LDKくらいの家に住んで、ユニクロのようなリーズナブルでシンプルなモノトーンの洋服を着て生活したいと考えています。

また、贅沢なレストランで高級食材を使った料理を食べたいわけじゃなく、健康的な食材を使って自炊したい。質素な食事で満足できるし、大好きな日本酒も毎日1合飲めれば大満足です。

ツッコミ少年
ツッコミ少年

そういう人たちに名前がついてるよね?

ミニマリストのBOBOS」といったところでしょうか。

BOBOS」というのは、ブルジョアとボヘミアンを組み合わせた用語で、アメリカでは新上流階級と呼ばれている層の人たちです。

高学歴で東海岸や西海岸の都市または郊外に住み、経済的に恵まれているもののドナルド・トランプのようなコテコテの大富豪を軽蔑し、最先端のハイテク技術に囲まれながらも自然で素朴なものを愛しているような人たち。

高級レストランに行くよりも近くのビストロでワインを飲み、騒がしい遊びをするよりも友人と知的な会話をすることを楽しみ、リベラル(別に民主党員というわけではない)で多様性を受け入れLGBTにも寛容。

仕事も友人関係も選択でき、経済的な不安無しに好きなこと・得意なことをやりながら自由に生きているような人たちです。

ツッコミ少年
ツッコミ少年

日本のゲイにもBOBOSっぽい人たちいるよね?

日本のゲイで言い換えると、紫色のどす黒い感情を引き出してやろうという無邪気な悪意を必死で隠していそうな強い眼光の写真をインスタグラムにアップしている承認欲求強めの新宿二丁目シャイニーゲイグループを軽蔑し彼らが載せたSNS写真を近所のビストロでワインを飲みながら薄ら笑いでいいねボタンを押してあげる構図、って感じでしょうか。

あるいは、ホームセンターで最新の大工道具を物色してる顔中ピアスだらけのタンクトップが制服のレズビアンを代理出産で子供を産んだ女弁護士と女医のレズカップルがベビーカーを押しながら生暖かい目で遠目に見ている構図、みたいな感じでしょうか。

いじわるな少年
いじわるな少年

あんた、ぜんぜんLGBTに寛容じゃないじゃん。

まあ要は、モノを買ったり贅沢することよりも質素で品のあるものに囲まれて、自由(リベラルでありフリーダムでもある)に生きることのほうが何倍も価値があると考えていて、嫌なことには嫌と言い、好きで得意なことだけをやって仕事したいと思っている、というような感じです。

仕事については、大嫌いだったわけではなくて、ぼくはどちらかというと仕事が好きな方だったと思います。

リーダーとして率先力を発揮し、どこでも相手が誰でも切り込み隊長になって突撃していくし、口達者でもあるので仕事仲間との折衝や交渉も比較的器用に行っていました。

自分のキャラに合ったことを仕事にできているという自覚がありました。

なので、とくに深く考えることなく、せっかく努力して入社した会社だったので、定年まで勤め上げるんだろうな、と思っていました。

賢い少年
賢い少年

でも、状況が変わったんだね?

状況が変わりライフステージが変わったと感じた

Right. New birthday resolutions. I, Bridget Jones, am done with affairs of the heart and dedicating my autumn years to the pursuit of hedonism.(わかったわ。誕生日の決断。私ブリジットジョーンズは心の問題とは決別し、人生の晩秋を快楽主義の追求に捧げるわ)

ブリジット・ジョーンズの日記

40歳を過ぎて、昇格論文・昇格面談を経て会社でのグレードが上がり、年収も大台に乗ると、それと同時に仕事上の責任とプレッシャーが増えました。

技術チームリーダーとして担当していた社内DX系のプロジェクトが大炎上し、顧客トラブルが続出し、その顧客対応とシステム改修に忙殺され、残業時間も36協定の上限値を超える状態になりました。

ツッコミ少年
ツッコミ少年

ひょえ~。怖ろしいね!

健康のために通っていたスポーツジムにも行けない、健康的な食事をするための自炊もできない、寝ても覚めても仕事上の気がかりが頭の中から消えません。

「あのバグ再発しないかな?」

「バグ修正対策は十分かな?」

「あっちを修正したってことはこっちにサイドエフェクト起こしてるんじゃないかな?」

とか、ぼーっとしているときも休日であっても、そんな独り言が頭の中をグルグルするような状態でした。

心の余裕が無いせいか、読書や映画も楽しめなくなりました。

いじわるな少年
いじわるな少年

それ、「花束みたいな恋をした」と同じやつじゃん。

あんた、菅田将暉じゃん。

一番印象的だったのは、マルーン5の東京ドームコンサートに行ったときに、周りの観客がすごく楽しんでいるときに「何でこの人たちはこんなに楽しそうなのに、ぼくはこんなに楽しめないんだろう」と感じて、自分の心が疲弊しているのを感じました。

そういうストレス下の中で、何となく人生の閉そく感というのか、自分の人生がコントロールできていないような感覚になりました。

株式投資で金融資産が5000万円を超えると、毎月100~300万円くらい資産が増減するようになります。

会社内でのグレードが上がり給料が上がったとしても、限界効用逓減の法則によってたかだか月給が10万円増えたところで1ミリもうれしくは感じません。

その一方で仕事上の責任感とかプレッシャーのほうだけが重くのしかかってきて、その負担感が給料の効用と照らし合わせたときに、明らかに割に合わず、正直しんどいという状況でした。

お金をそんなに必要としていないのに、何のためにこの仕事をしているのか、どういう情熱でこの仕事に取り組まなくてはいけないのか、そういう疑問にまったく合理的な説明ができない状態でした。

ぼくのライフステージが変わったことがはっきりとし何かを大きく変える必要があるとわかったのが43歳です。

ブリジット・ジョーンズが人生の後半戦を快楽主義の追求に生きると決断したのと同じ年齢でした。

人生の方向性を変える

そういうわけで、43歳というゲイの老後のスタート地点に立ち、人生の方向性と社会的役割をアップデートする必要がありました。

賢い少年
賢い少年

人生の方向性を変えると言っても、どっちの方向に変えれば良いのかわからなくない?

ぼくが幸運だと思うのは、人生設計の指針を与えてくれる橘玲という作家の著作に、若い時に出会えたことです。もう橘玲信者と言っても過言じゃない。

橘玲の著作を最初に読んだのは20代中盤でした。

働き始めて2,3年が経ち、支出と収入のバランスが安定してきた時期で、給料をどう使えば良いのかとかお金のことをちゃんと学ぼうと思っていたときに、「お金持ちになれる黄金の羽根の拾い方 知的人生設計のすすめ」という本を手に取りました。

それまでも「ウォール街のランダムウォーカー」や「敗者のゲーム」といった投資についての本を読んでいました。

でも、日本人によって書かれたその本が、ぼくにとっては非常にわかりやすく、そして論理的で合理的に説明されていたために、とてもよく理解できました。すでに投資信託を始めてはいたけれども、橘玲の言うことを信じて、インデックス投資を続けようと胸に刻みました。

途中リーマンショックなども起きて損失も発生させたけど、「ドルコスト平均法で世界市場に投資する個人投資家にとっては100年に一度の投資機会」という橘玲の言葉に励まされ、株式市場から撤退することなく、愚直に投資を続けた結果、順調に資産を増やすことができ、40歳で準富裕層になりました。

ツッコミ少年
ツッコミ少年

他のFIRE民に比べたら、決して早いわけではないよね

確かに、インターネットの世界に居るFIREされた人たちと比較して、経済的自立を達成した年齢は早いとは言えません。

でも、これがぼくのパフォーマンスでした。「富の比較ゲーム」に参加するつもりはないので、他者と比較することはありません

そのような経験を通して、ますます橘玲への信仰心を高め、この人の言うことを人生の指針にしたいと思うようになりました。

橘玲は著書の中で、「金融資本」「人的資本」「社会資本」の3つが幸福の土台だとして、合理的な金融資産形成(金融資本)の指針だけではなく、働き方(人的資本)についても指針を与えてくれます。

  • アメリカでは、アーリーリタイアして経済的自立を達成してから第二の人生で好きなことを仕事にする生き方が一般的になりつつあること
  • とくに技術革新が加速した現代では、人生ゲームの攻略法が新しいテクノロジーによって大きく変わっており、大きな会社で定年まで働くという旧時代の必勝法が使えなくなっていること
  • サラリーマンというのは日本にしかない職種で、ただの身分(非正規社員に対する正社員)であり、そういう身分制度はリベラルな世界では無くなる運命であること
  • 人生100年時代で60歳定年から70歳定年になりつつある現代において、好きでもない仕事を続けるのは苦役であり好きな仕事じゃないと長く続けるのは不可能なこと
  • 日本人は「成功すること」ではなく「失敗しないこと」を選択するというネガティブゲームをしており、皆がネガティブな世界では意識的にポジティブ行動を選択するほうがうまくいくことが多いこと
  • だから、伽藍からバザールへ、サラリーマンからフリーエージェントへ転身することを勧めること、etc

そういうような記述が、サラリーマンとして生きているのが年々しんどくなってきて何かを変える必要があると考えていた自分に突き刺さりました。

そして、保守的になって今のサラリーマン生活を続けるのではなく、会社員を辞めてポジティブな方向に生き方を大きく変えようと決意させました。

それに加えて、2023年に起きたChatGPTやStable Diffusionのような生成AIの技術革新は、いわゆる破壊的イノベーションとして、人生ゲームのルールが大きく変わったことを強く確信させると同時に、ぼくの強みとしていたスキルをも危うくするだろうという懸念も与えました。

リスクを取らなければ成功できないが、リスクをとれば失敗するかもしれない。だとすれば、このゲームを攻略する戦略はひとつしかない。それが、「失敗してもいいリスクを取って、試行錯誤しながら経験値を上げていく」ことだ。

橘玲「不条理な会社人生から自由になる方法」

こういうわけで、リスクをとるに十分な金融資産が貯まったことが後押しとなり、人生ゲームの新しい攻略法を試す、つまりサラリーマンとして生きるのを辞め好きを仕事にする、ということにチャレンジしようと考えるに至ったわけです。

社会的役割のアップデート

サラリーマンとして生きるのを辞め好きを仕事にする、と決意しましたが「ぼくはいったい何が好きでどこに貢献できるのか」、それが次の難問でした。

賢い少年
賢い少年

人は徹底的に社会的な生き物なのだから、社会的役割を考えることが大事なんじゃない?

社会的役割を考えるにあたっては、ゲイという性的マイノリティに生まれ、「標準」の外部に居る者として生きてきたというのが、ぼくの考えに影響を与えていると思います。

マイノリティには、マジョリティが作る「標準」に対して違和感を表明するという社会的使命がある思っています。

また、偏見や差別に屈することなく、自分を認めて強く生き、他の人たちと同様に幸福を追求する権利があるということを誰よりも強く主張するというのも大きな社会的使命だと思っています。

だからこそ、ゲイである自分が「自由や幸福をどう捉えどう追求するかを示すこと」が自分の社会的役割なんじゃないか、と考えるようになりました。

結婚もしないし子供もできないので、標準的なノンケ男性が思い描くような大きな庭付き一軒家で家族団らんといった世間で素朴に信じられている昭和的幸福感とは無縁。

かといって、映画「エゴイスト」に出てくる鈴木亮平みたいに、仕事でバリバリ働いて出世して金持ちになってハイブランドの衣服を身に着けてステータスを誇示するというシャイニーゲイのステレオタイプな幸福感のことも、下品だと軽蔑している。

ゲイというマイノリティの中にあって、ステレオタイプなゲイ的幸福感も否定しているぼくは、自分らしいオリジナルの幸福論を作りだす必要がありました。

経済的自立が幸福モデルの一つなのだとしたら、ゲイの場合は幸いにも、経済的自立に必要な条件のいくつかが自然に揃います。

  • 結婚しないので離婚の心配がなく慰謝料とは無縁
  • 配偶者の浪費に悩むこともない
  • 子どもが居ないので教育費も不要
  • etc

幸いなことに40代で経済的自立を達成することができた、ゲイとしてのぼくの社会的役割というのは、「経済的自立の上に自由を謳歌し、生きがいを見つけて好きを仕事にし、その生きざまや考えをゲイコミュニティに対して示すこと」なのかもしれない。

ツッコミ少年
ツッコミ少年

えええ?そんな大仰で大それた話なの?

そういう大風呂敷を広げて言い張っていくような話なのだと思うのですよ。

結局、経済的自立を達成して本当の意味での自由を獲得したというのは、ボーナスタイムでしかなくって、ドラクエのゲームみたいに遊びの人生でしかないので、小さくまとまってもしょうがないとふっきれたのです。

生きがい探し

好きを仕事にすると言っても、いったいぼくの好きってどこにあるのか。

And the only way to do great work is to love what you do. If you haven’t found it yet, keep looking. Don’t settle. As with all matters of the heart, you’ll know when you find it.

スティーブ・ジョブズ「スタンフォード大学でのスピーチ」

「好き」については、見つけたら不思議とお前の心がそれとわかる、とスティーブ・ジョブズも言っています。

橘玲もスピリチュアル(無意識)がきっと教えてくれると言っています。

なので、しばらくは海外や国内をふらふらし、読みたかった本を読みつつ、こうして考えたことや気づいたことをブログに書きながら、探し続けようかなと思います。

ゲイの老後を迎えたおじさんだけど、人生のリスタート、まだ遅くないと信じてる。

優しい少年
優しい少年

がんばれ~

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