勝間和代さんがおもしろいことを言っていた
勝間和代:「労働は資本に投入するお金を稼ぐための手段でしかない」
「なぜ賃金は上がらない?」というテーマで、俺たちの勝間和代さんがAERAの記事でおもしろいことを言っていたので、今日はそれについて書きます。
最近はかつてのカリスマ性が落ち着いてきたのか、それともぼくの勝間信者としての信仰心が足りていないのか、ついぞズーヨ姉さんのご著書を拝読することが少なくなってしまいました。でも、相変わらずの身も蓋もない言いっぷりはご健在で、お元気そうなのが伝わってきてなによりだと思います。
景気がいいはずなのに、賃金が上がらないのはなぜなのでしょうか。
答えは簡単です。「21世紀の現代では、私たちが労働で生み出す価値よりも、資本が生み出す価値のほうがずっと大きくなってしまったから」
今や労働というのは、コンピューターや人工知能あるいは機械化された生産設備の補完でしかありません。主な生産設備は資本のほうに移ってしまったのです。
極端な表現かもしれませんが、「これからの労働」は、私たちが資本(この連載でいえば全世界株式インデックス型投資信託)に投入するお金を稼ぐための手段でしかありません。(中略)
無駄遣いをしないように気をつけながら、残ったお金をなるべく資本に投入していかないと、21世紀の社会構造においては生き残っていけないということを自覚する必要があります。
勝間和代「株価も物価も上がり…なぜ賃金は上がらない?」の簡単な理由〈年金も住宅ローンも機能せず〉
労働収入はすでに限界
労働で生み出す価値よりも資本が生み出す価値のほうが大きい、というのはいわゆるトマ・ピケティが『21世紀の資本』の中で提唱した、資本収益率(r)が経済成長率(g)を常に上回ることを示す「r > g」の法則のことですね。
つまり、勝間さんの個人的な意見ではなく、経済学者が世界中のデータを調査して見つけた法則であり、資本主義社会の真実です。
これは富の法則としても知られていて、言い換えると、労働収入には限界があり、現代ではもはや労働は十分な富を生み出さない、ということを言い現わしており、ぼくらの働く意欲を根こそぎそぎ落としてきます。
労働だけではお金持ちになれず、毎日必死に働いても、豊かな生活は送れません。
労働の意味!じゃあなんで働かなくちゃいけないんだよ~
AI革命 第3の波から第4の波へ
そのような経済法則が働く世界で今、もう一つの大きな変化が起きていて、それが生成AIの技術革新、つまり「AI革命」です。
インターネットという技術革新による「情報革命」が第3の波を引き起こしましたが、ChatGPTなどの生成AIの技術革新による「AI革命」が第4の波を引き起こしています。産業革命や情報革命と同じインパクトで、AI革命による第4の波は大津波を引き起こし、社会構造、経済、生産様式、教育、社会規範や個人規範など、ありとあらゆるものを大きく変えると予想されます。
もちろん「労働観」も大きく変わると予想されます。
これからの労働観
旧来の労働観 全身全霊で打ち込むスタイル
これまでは、全身全霊で汗水たらして働くことが美徳とされていました。仕事ができるやつが偉くて、誰よりもたくさん働く人が偉い、みたいな。全方向で全力投球、みたいな。
今でも古い組織ではそういうストレスフルな働きが求められるし、その考えが日常にまで侵食し「なぜ働いていると本が読めなくなるのか?」といったことになります。
労働が唯一の金持ちになる手段だ、みたいな。労働して社会的地位を得るのが素晴らしいのだ、みたいな。労働が人生の全てだ、労働で自己実現するのだ、みたいな。そしてほんと労働者階級って辛い、みたいな。そんな世界。
これからの労働観 ゆるふわでいい
でも今や、大変で辛い思いをして労働しその労働による収入によって豊かになるのだといった素朴な考え方は古臭くなってきていると思います。
豊かになるための主役は株式投資であり、労働はすでに脇役。人生の全てなんかじゃない。
全身全霊ではなく半身で労働するので十分だし、労働よりも大事な人との日常のほうがずっと大事。何より労働よりも思い出づくりのほうが、本来の自己を取り戻します。
AI革命により、ぼくらは労働者階級から有閑貴族階級へランクアップしているという感じだと思います。
仕事はまあ、ボチボチやりますけど、本気を出すのは株式投資のときだけ。そんな感じ。
新しい労働観への適応 マインドチェンジ
労働の目的は富の獲得手段ではなく株式投資の燃料補給
労働の目的は大きく変わりました。
もはや労働は「社会的地位を獲得してお金持ちになる」ための手段ではありません。「r > g」により労働ではお金持ちになれないことは判明しています。
お金が目的なのであれば、労働よりも株式投資で成功するほうが効率が良いし、労働による収入は株式投資の燃料補給だと割り切って、ゆるふわで働くので良い。
全身全霊で汗水たらして働く、本も読めなくなるくらいに労働モードに日常を侵食させるなんてのはもってのほかだと思います。
仕事の仕方も変わった AIが主攻で人間は助攻
その新しい労働観への移行をさらにAIが後押しし加速させているような状況です。
知的生産活動においては、キングダム風に言うなら「AIが主攻であり人間は助攻」です。それくらいChatGPTやClaudeなどの生成AIの品質が向上しています。
デジタル庁も仕事に使えるプロンプト集を作って公開するなど、AIの利用が前提となる働き方変革はもう目の前まで来ています。AIに仕事を任せて、人間はのんびりすればいい。
働くことよりも良く生きるための哲学が大切
旧来の素朴な労働観の世界にいる人は、労働がすべてだというマインドコントロールから脱出し、労働による疲弊から抜け出したほうが良いと思います。
結局のところ、人生で大事なのは「より良く生きること」です。
労働が人生を輝かせるなら続けたほうが良いと思いますけど、多くの人は大事な人と好きなときに好きなことをすることのほうがずっと大事だと考えているのではないでしょうか。ぼくにとっては読むことが生きることなので、好きな本を好きなだけ読める自由こそが、より良く生きることです。
人生は思い出作り。もっと自分の人生を楽しみましょう。労働している場合じゃない。
まとめ
労働は投資の種銭を稼ぐための手段。お金持ちになるのは株式市場に任せる。また労働においても、AIに任せられることは任せて、人間はより良く生きることに集中する。
適当に働いて、賢く投資し、楽に楽しく生きる。それが人生ってことだね。
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